グリーンカードを持つ私が感じるアメリカ国籍取得のメリットとデメリット
グリーンカードホルダーだった日本人の夫が、5年前にアメリカ国籍を取得しました。そしてスポンサーになってもらい、フィアンセビザで私が渡米、その後アメリカにて結婚、現在に至ります。フィアンセビザを切り替えて、今は私もグリーンカードを所有しています。
グリーンカードを所持しているよりアメリカ市民になった方が、日本から呼び寄せる手続きが早くてスムーズ、とのことで便宜上夫はアメリカ国籍を取った形になりますが、今回はアメリカ国籍を取得するメリットとデメリットを紹介したいと思います。
まずアメリカ市民権を得るとどのようなメリットがあるのか、から見ていきたいと思います。
●アメリカで選挙権がある
自分の生活や環境をより良くする為に、少しですが自分の声を投影できます。
●入国がラク
永住権だと、短期間に何度も何度も出入国するとアメリカの入国でうるさい。永住権はアメリカに住み続ける為のものなので。アメリカ国籍なら、アメリカ国外に長く滞在してもアメリカに帰ってこれるけど、永住権だとアメリカに住む意志が無いと見なされて、永住権をはく奪されるかも。
●政府や公的機関関係の仕事に就け、間口が広がる
一般の仕事している分には市民権も永住権も大きな違いは無いですが、永住権だと特定の政府機関などで働くことができません。
●パートナーや家族の呼び寄せが早い
永住権スポンサーによる家族の呼び寄せは、かなり時間がかかります。市民権スポンサーでも1年半くらいかかりましたが、こちらの方が大分短いです。
●永住権と違い、市民権はく奪されることが無い
永住権保持者が悪さしたりすると強制送還されたり、永住権のはく奪もあります。しかし市民権は奪われることがありません。
●10年ごとのグリーンカード更新手続きの手間が省ける
グリーンカードの更新は必要書類の提出後、別途指紋採取と顔写真を撮りに行ったりするので、少々手間があります。正直メンドクサイ手続きですよね。
ちなみにグリーンカード更新の手続きにかかる費用は現在540ドルのようです。結構高いです。アメリカのパスポートの取得費用と更新費用はともに110ドルです。
●相続税で有利
州によっても違う様なので、こちらの件は専門家に相談した方がいいと思います。
上の2つめ、3つ目くらいまでは、実生活に大きく関係があることだと思います。
次にデメリットです。
●日本国籍を失う
日本は二重国籍を認めていないので、アメリカ国籍を取ったら日本国籍ではなくなります(手続きは必要です)。日本の選挙権もなくなります。
●陪審員制度が面倒
裁判に参加する、というのは気が重いですよね。重大な判断をしなければならないわけですから・・。アメリカ市民だとそのような義務が発生します。
ちなみにアメリカ市民でなくても召喚状が送られてくることがあります。運転免許証や選挙権を持つ者のなかからランダムに送ってくる為です。夫も「グリーンカードホルダーの時に1度送られてきた」と言っていました。市民権が無ければ陪審員にはなりませんが、辞退の手続きはちゃんとしないと罰金になることがあるそうです。
デメリットは2つほどしかありませんが、最初の「日本国籍を失う」というのがとてつもなく大きなデメリットだと感じます。
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夫は自分と結婚するにあたり、市民権を得た方が手続きがスムーズになる、という理由で国籍を変えたわけですが、
「結婚してなかったら永住権のままだった?それとも、いずれは市民権取るって考えてた?」
と聞いたところ、
「永住権のままだったと思う」
との回答。
今はアメリカにいるけれど、もしかしたら日本に帰る可能性もある、というのが理由だったみたいです。
「国籍変えるまでは悩んだりってあるけど、変えたら変えたで結構何ともないよ」とも言ってました。
知り合いのご夫婦はそろって永住権所持、お子さんたちはアメリカ国籍だそうです。奥さんにお話しを伺ったところ、日本国籍でいる理由としては、
「主人がいずれは日本に帰りたいと言っているのよね。私としては、日本に気持ちはあるけど日本にいた親も亡くなったし・・自分にとっては日本がよその国になっているというのはある。アメリカにいる方が長いから、アメリカ国籍取ろうかなとも思ったこともあるんだけど・・。長くアメリカに住んでいても、日本国籍を失うのはやはり寂しいかな」
「子供が女の子だったらアメリカ国籍に変えていたかも。女の子は成人してからも、比較的親子の関係が近い傾向にあるけど、男の子は結婚したらあんまり実家に帰ってこないし・・。(だから親子で国籍が違ってもあまり気にしていない)」との事。
どのくらいの時期から日本が遠くに感じてくるのかが気になって聞いてみたところ、
「人によると思うけど、私は7.8年過ぎた頃だったかな。親も亡くなって、日本の友達とも段々距離が出きて・・」とのことでした。
早い段階にアメリカ国籍を取った方もいます。アメリカが好きだし、ずっとアメリカにいるという決心とか覚悟が出来ていたからだと思います。
私もあと数年したら市民権申請の資格を満たします。私自身は永住権のままでいるのか市民権を得るのか、今の時点では決めていません。
今の気持ちとしては子供もいないですし、日本にいる両親もまだ元気ですし、渡米してまだ5年なので日本が自分の国です。
むしろ、日本にいたときは愛国心なんていう感情はほぼほぼゼロだったのに、日本から離れて暮らすことで日本の良さ素晴らしさを感じています。
なので市民権取得の資格を得ても、しばらくは永住権のままでいるんじゃないかなと思います。自分にとっては日本国籍を失う重みの方が大きいです。今の自分を作ったのは日本にいる大切な家族、友達、日本の環境や豊かな文化、まさしく日本そのものだから。
国籍を失うって、そんな自分の故郷とか心の拠り所を失う感覚に近いのかもしれませんね。
もし日本国籍を失ったとしたら、日本に帰るときはアメリカのパスポートを持って、「外国人」として入国することになりますよね。また日本に3か月以上滞在するにはビザが必要になりますよね。日本に生まれたのに、日本に長期滞在するには許可がいることになる・・。
一度夫と一緒に帰国したときに、私は日本人の列、夫は外国人の列に並んで入国しました。その時、
「そうだ、夫はアメリカ国籍だった・・」
と隔たりみたいなものを感じました。普段は考えないのですが、入国の時は国籍の壁を認識せざるを得なかったです。
日常では夫の国籍を意識することはほとんどないのですが、重大なことや大事なことなど何かが起こったときに、国籍ってやはり大きな重みになってくるのではないか、とも感じます。特に良いことではないこと、例えば、パートナーが亡くなったとか、無いとは思いますが戦争とかが起こったときに。
しかし時が流れ、生活基盤がアメリカになり、日本と距離が徐々に遠くなってアメリカが自分の国だと感じる日がくるかもしれません。
アメリカの行政とか友達、職場の人、たくさんの人にお世話になっている、助けらている・・長い年月が経てば、愛着も出てくる・・。気持ちの変化もあると思います。
もう日本に帰らない、と決めたならばアメリカ国籍を取る日が来るのかもしれません。
「もしかして、どっちつかずで、一番中途半端な状態になるのでは・・?」という心配も正直あります。
国籍を考えるって、自分の過去やルーツ、生き方、今後のことなど、自分と真正面から向き合うことでもあるので、やっぱり悩んだり、すぐに答えとかでない難しい問題だと思います。メリットが多いからといって簡単に選ぶことができない、自分のアイデンティティや生き様という、何もにも代えがたいものでもあります。
夫が言うように、「大きな違いはない」のかもしれませんが、2つの国籍を持てない以上、国籍を変えるときはやはり1つの心の区切りであるような気はしてます。
日本人夫がアメリカ国籍を取得した時の話についてはこちらでも書いています。
●日本人の夫がアメリカ国籍を取得するまでのリアル体験談と本音
●アメリカ国籍の日本人と結婚した私が感じるお互いの努力が必要な理由
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