辛くて早く帰りたい!米大手航空会社のCAトレーニングが6週間で長かった
アメリカの航空会社で客室乗務員として採用のオファーをもらうとその後は、恐怖のトレーニングが始まります。
日本のエアラインだと、面接を突破したら訓練ではよっぽどのことがない限り落ちないし、会社側も落とさないようにしていると思いますけど(私はそう感じていました)、アメリカは訓練中に去っていく人が何人かいます。訓練でのテストを突破するまでは、正式採用ではありません。
私は日本でもアメリカでもCAとして働いていたので、初めてのトレーニングではないのですが、何回目であってもこの訓練は嫌だなあって思います。
今回は、米国の小規模エアラインとの比較を交えながら、アメリカ航空会社大手のCAトレーニングについて書いていきます。
大手航空会社のトレーニング期間は大体が6週間くらい。
私は以前、地方空港を担うエアラインにいたんですけど、そのときの訓練は4週間くらいでした。
期間の違いは何なのかというと、乗務する機種の違いです。
大手→エアバスやボーイングなど色々なタイプの機種に乗務
小規模エアライン→1種類か2種類の機種に乗務
大手では4種類ほどの機材を学ぶ必要があるため、その分6週間と長いんですね。
どちらにも共通しているのは、大量の情報をトレーニング期間に学ばなくてはいけないこと。6週間であっても4週間であってもスケージュールはきつきつ、自分の時間とか、ゆっくりできる時間はあまりないです。
でも基本的に学ぶことは大体同じかな。大雑把に書くと、
・座学
・座学で学んだことを行動化(主に救難訓練)
・サービス
会社によってカリキュラムは違うと思いますが、機種ごとのドアの開閉の練習、緊急着陸、緊急着水、急病人発生時の対応、サービス(ドリンクや食事)などを学んでいきます。
訓練に行く前は、6週間なんてすぐだと思っていたけど・・実際、すぐだったけど、長かった・・・(泣)。
訓練中に辛かったなあと思ったことは・・
6週間のうちテストが10個以上あって、毎回90%以上を取らなければならなかったことがまずきつかった。
ちゃんと教官のレクチャーを聞いて、テストに備えて勉強すれば大丈夫だと思うのですが、自分が心配性のせいか毎回不安でした。もし90%以上を取れなかった場合、2回までは落ちても訓練を続行できますが、3回目はありません。それは6週間で合計2回までOKという意味。
それに6週間という長い間、気を張っているし、人に気を遣っているし、覚えることは多いし、朝早いときは早いし・・何より英語はネイティブじゃないし・・。
それがものすごいプレッシャーでした。実技テストもいつも緊張してたな。
あと嫌だったのは、休憩中の15分とか移動中の時間とかの同期との何気ない日常会話。自分の英語力の無さを痛感してました。
私のクラスには日本人がいませんでした。アジア人はいたんですけど数人で、みんなアメリカで生まれ育った人。だから私はクラスに馴染むのに時間がかかったというか、ちょっと浮き気味だったと思います。
でも嬉しかったのはほとんどのクラスメート達がみんないい人だったことかな。わからないところは聞いて助け合う、教え合う、みんなで訓練を突破しようという雰囲気が全体的にあったので、それはありがたかったです。
ちょっと話はずれますが、ここで学んだことは、アメリカの縮図をクラスの中に見つけたことです。
クラスには20代から50代、アフリカ系、中南米系、アジア系など色々な人種がいたのですが、最終的に、なんだかんだ同じ人種で仲のよいグループができていました。
人種は違っていても、例えば同じ年代で仲良くなったりするかな?と思っていたところがあります。もちろんそれはあります。英語がネイティブじゃない者同士仲良くなったりもありますが、でもそれ以上に、人種の結びつきはとても強いものなんだと学びました。
それはやっぱり共通点が多いからなのかな、と感じました。私が訓練中にいっしょにいた人もアジア人です。食べ物の話、文化の話・・ルーツが似ているからわかり合えるし、共感できる部分がものすごい多かったです。
話が飛んじゃったので、訓練中に辛かったことに戻りますと、あとはですね、6週間のうち、4〜5目あたりが一番しんどかった・・。
最初のうちはいいんですよ、新しい会社、新しく出会った人にみんな興味津々でエキサイト気味だから。
でも詰め込み式で毎日トレーニングをして睡眠時間を削って過ごしていると、疲れが溜まってきますよね。大体、4〜5週間目がその山場。ミリタリーのキャンプにいるみたいでした。
6週間は長い!!(強調)
楽しかったことってなんだったかな?
やば・・
特に思い出せないのが悲しい・・。
必死にいま思い返しているんですけど、すいません楽しかった思い出が・・ナイ。(泣)
楽しかったことじゃないけど、社員食堂でお気に入りのパンを見つけて、その甘いパンを食べるときは幸せでした。
でも一体なんのパンだったんだろ?
インストラクターの方達が本当に尊敬できる人でした!
話をするのがうまい、教え方がうまい、生徒たちとも近すぎず、遠すぎずのスタンスを取って応援、プロフェッショナル。特定の生徒を可愛がるとかそういう差別もないし、愛情溢れる人たちでした。こういう人になりたいなと思わせてくれる人ばかりで、この会社に来て良かったなと感じました。
訓練が始まる前、
「自分は日本人だし、英語のことが心配・・。」
とめちゃくちゃ不安だったのですが、でも同時にこうも思いました。
「大手の会社だから、英語がネイティブではないアジア人を何度もトレーニングしているはず」。
そしてその通りでした。
私を含む英語が母国語でない人への理解やリスペクトのようなものをちゃんと感じ取ることができました。教官たちはちゃんとそういった訓練を受けていると思うし、素敵な人柄でした。
私はまだ日本の文化が抜けてないのか、教官と生徒は同じ立ち位置にいないという意識が強くあったみたいで、友達のようにはお話はできませんでしたが、社内でそのうち会うことがあれば、もっと気軽に色々話してみたいです。
私が以前いた子会社だと、企業年数が若いせいもあってか、教官も若い人が多かったです。だから社内の教官達のトレーニングがしっかりしてないのか、教官の態度や振る舞いに疑問を抱くことがありました。
例えば、特定の生徒とやたら仲がいいとか、服装が適切でないとか。女性教官のスカートが短すぎない?と思うことがありました。
え?スカート短いと思うのは私が年とったせい?
どちらも一長一短ですが、私は大手のほうがいいかな。
理由は給料がそちらのほうが良いから。あと大手の好きな部分は、歴史がある、レガシーがある。大きな機体に乗務できる、海外の乗務がある。色々な国の人が集まっている。
逆にマイナス面は、マンモス過ぎて自分の好きな基地を選べない(なるべく希望を聞いてはくれる)、希望のフライトスケジュールになりにくい。
新人はどこのエアラインに行っても希望は通らない傾向にはあるけど、大手は自分より先に入った先輩達がものすごいたくさんいるぶん、自分の希望が通るまでに余計に時間がかかる。
私は国際線を飛びたい願望があったので大手に行って良かったと思っているけど、人によっては小規模のほうがいいという人もいます。
例えば、国際線は長すぎて嫌だとか、自分の希望するスケジュールを取りにくいとか、自分の住んでいる場所にベースがないからやだとか。
どちらも良し悪しがあるので、自分のライフスタイルに合った会社を選べば良いのかなと思います。
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ペーパーテストに3回落ちてしまって、残念ながら途中で帰っていった人も実は何人かいました。
そこにはアメリカ人も、英語がネイティブではない人も含まれていました。
アメリカ人が落ちてしまうのはどうしてかな?勉強してなかったのかな?ケアレスミス?理由はわかりません。
でもそういう中で、英語が母国語じゃなくて、すでに2回テスト落ちてしまって崖っぷちにいる同僚が、そのプレッシャーに耐えながら勉強し、その後見事にすべてのテストを突破した姿はとてもかっこ良かったです。
もちろんクラスメートの励ましやフォロー、教官達の応援もありがたかったなって思います。
英語がネイティブではない私も訓練を無事に終えることが出来ました。その間、自宅で一人留守番をしてくれて陰ながら支えてくれた夫にも、本当に感謝したいと思います。
訓練はミリタリーみたいで大変だったけど、達成感はちゃんとあります。同期との絆も。
訓練後はみんな自分の配属ベースへ散り散りになるので、もしかしたらもう会わない人もいるけど、6週間の濃ゆい時間を一緒に過ごした同期たちが、楽しみながら乗務しているといいな〜。
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