そうだったのか!人種のるつぼが「サラダボウル」に変わった理由と意味
アメリカは「人種のるつぼ」「メルティングポット」「人種のサラダボウル」といろいろ表現されますよね。今では「人種のサラダボウル」が使われています。
でも、
「人種のサラダボウルってどんな意味?」とか、
「違いは何?」とか、
「どうして言い方が変わったのか?」
と言われると、ちゃんと答えられない部分もあるのではないかと思います。
私自身も言葉は学校で習って聞いたことがありますが、「説明せい!」と言われるとしどろもどろになっていました。
これらの言葉はアメリカを一言で表す言葉でもありますが、辿るとアメリカの人種問題に行きつきます。
まずは「人種のるつぼ」の「るつぼ」って何?ということですが、ツボという単語があるので、入れ物だということはわかると思います。
調べると「物質を溶融させるときに使う容器」とあります。高温でモノを溶かすときに使うナベのようなものですね。
人種のるつぼとは、英語でメルティングポットと訳されます。もしかしたら人種のるつぼよりも、英訳のメルティングポットの方が、わかりやすい表現かもしれません。
大事なのはメルト=溶ける、という部分ですね。
イギリス系の移民を中心としたアメリカ社会に、他の国々の移民が入り込み、1つに融合することが「メルティングポット」と表現されてきました。またそれを理想としてきました。
近年ではそれに変わって、「人種のサラダボウル」と表現されます。
多様な文化や習慣をもつ人々が、違いや個性を活かしながら1つの魅力を作り出す、そして尊重し、共生しているという方が、現実のアメリカ社会を表現するにふさわしいとされています。
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これを知るにはアメリカの歴史を見ていく必要があります。アメリカの歴史を簡単に見ていきましょう。
アメリカは移民国家です。もともとは、アングロサクソン(WASP)がアメリカに入植し、アメリカの元となる価値観を作り上げました。
彼らの生活を見習い、彼らの様に振る舞い、同化することがアメリカ人になることであり、そのあとにやってきた移民たちは、同化していかなければ、投票権なども与えられませんでした。
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その後、どんどん移民が増え始めます。公民権運動あたりまではヨーロッパ系の移民の多様性のみが注目されて、その融合が図られました。要するにこのころの移民のほとんどは白人だったということです。
その際に異なる文化が解けあう、「メルティングポット」という考えが生まれます。移民が溶け合って、1つの違うアメリカが出きることを理想としていました。
(白人以外の黒人やアジア人、ネイティブアメリカンなどは対象外)
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しかし実際はアングロサクソンが優位で、後から入ってきた移民への差別がありました。
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そして1950年代の公民権運動あたりから、人種のるつぼという表現が通用しなくなってきます。アジアやラテンアメリカ、中東やアフリカからの有色人種の移民が増えて、そういった少数民族の意識が高まってきたからです。
アメリカ人としての統一は保ちながらも、自分達の祖国の伝統や、生活に固執するようになり、融合というよりも、共存の意識が高まりました。
混ざりあってはいるものの、単一のものではないということから「人種のサラダボウル」と表現されるようになりました。
実際のアメリカは融合しているという部分もありますし、尊重しあっている部分もありますが、認め合っていない部分もまだとても多いと感じます。事実、人種差別から事件になることも多いです。
でも相手を知ろう、理解をしていこう、という風潮はあると思います。カレッジで使われているテーマでも、アフリカンアメリカンの差別、LGBTのことだったりします。
様々な国から人が来ているアメリカでは見た目も考え方も、全く違う人が多いですが、まずは相手を知ること、理解しようとしていくことは大切だと感じます。
表面的な言葉の意味を知るだけではなく、なぜ言葉が変わったのか?なぜ溶け合わなかったのか?というところを考えてみてみると、より深いアメリカが見えてくるのかなと今回思ったのでした。
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